2009年 12月 12日
共生しあうための前提~佐々木正美先生講演会 |
先生から、支援者としてこれだけは骨身に染みて覚えておくように
と、お伝えいただいたことをご紹介したいと思います。
(当日の資料より引用いたします)
自閉症スペクトラムの特性
1.専門家の立場から
・視覚情報への親和性が大きい。(具体的、個別的、規則的なことが得意)
・想像力が乏しい。(見えないもの、話されることが苦手)
・関心、興味、認識が狭く強く向かう。(シングルフォーカス、モノトラック)
・予期しないことへの恐れや混乱が大きい。(スケジュールが必要)
・肯定が意味になり、否定は意味になりにくい。
・忘れることができない。(タイムスリップ、フラッシュバック、PTSD)
・同時総合機能が困難。中枢神経の統合力が弱い。(前頭前野機能の問題)
・感覚様式(モダリティ)が切り替わりにくい。
・百聞は一見に如かず。論より証拠。情より理屈。
2.当事者の立場から
・言葉よりも絵で考えるように産まれついた。
自分にも背中があることが、大きくなるまで分からなかった。
コタツに入ると、足が見えなくなるから不安である。
授業時間より休み時間の方が混乱して不適応。
・相手が自分と異なることを感じたり、考えたりしていることが分からない。
鬼ごっこが分からない。トランプの神経衰弱なら得意。
シェイクスピアは読めるが、ロミオとジュリエットの悲しみが分からない。
「幸福」や「親切」の意味理解が困難。
・物事の性質を大局で見極めることが苦手。
かなづちは、まず鉄のかたまりを見ている
→それから木の棒が横たわりつながっていることに気づく。
一枚の白い紙→まず白い部分を見る(どんな性質でできているか)
→その後、紙の四隅に角があることに気づく。
・何が起きるか、起きないかを考え続けることに疲れはてる。
予定外のことが起きると、激しく当惑する。
例→会議後に、同僚から「コーヒーを飲んで帰りましょう。」と誘われ
言われるままについて行ったが、何を注文してよいのか分からず
みんなと同じコーヒーを頼んだが、よく考えたら自分はコーヒーが飲めなかった。
(それくらい、いきなり言われることに混乱してしまう)
習慣やルーチン以外のことに苦しんでいることを知ってほしい。
・「〇〇しなさい」は分かるが、「××はだめ」は、何をどうすればよいのか?分からない。
・苦痛であった記憶を消すことができないし、今起きているように思い出される。
・自分が話していることを、自分で聞き続けることができない。
例→講義を聞きながらノートをとることができない。
・画像が頭に入ってくると、文字や話しが入ってこなくなる。(先着一名様)
会話をしながら食事をすることができない。
3.行動・感情の特性
・自分のやり方で行動する(わがままや躾の問題ではない)
・暗黙の了解はない。常識が身につきにくい。
・得意、不得意の差が大きい。
・優れているもの、非凡なものを、自分で社会的に発揮することが苦手。
・規則、役割、相手の気持ちや立場が理解できない。
・話すことよりも、相手の話していることを理解することが下手。雑談に入れない。
・字義通りに理解する。冗談や比喩が通じない。
・臨機応変の応用や適応が苦手。
・治療的な対応よりも、本来の持ち味(特性)発揮できるような援助を望む。
・理解できることや決められたことは、律儀に融通がきかないほどきちんとする。
・嘘はつかない。裏表はない。決まりは守る。適当というやり方はしない。
・優れた(しばしば非凡な)能力は必ずある。それなのに、謙虚である。
・優れた能力を教育・支援してくれる人を求めている。
・苦手なことを直したり修正したがる人に出会うことを恐れている。
※今回のお話しで特に印象に残ったコト。
・自閉症は、前頭前野の働きに問題が起因していること。
私たちが、人の顔は浮かぶのに名前が思い出せない・・・といったことが脳内で起きていることと同じ作用。
自閉症の人たちの場合は、それが老化現象では無く情報の混乱が常に起こっている。
・一般的には、広い部分から様々な意味をつなぎ合わせて物事の本質を考えるが、
自閉症の人の場合は反対で狭いところから物事の性質を考えていく。
だから、いきなり大きな場所や、人や物であふれて居いる環境に身を置いて
行動を促されることはとても苦手。
・常に、具体的・個別的に物事をイメージしている。
「幸せ」とは、休日の朝食に食べるフレンチトースト。
そして、
理解できないのなら支援しないでほしい。
自閉症の人にとって、「無理解」で「熱心」な人ほど苦痛なことはない。
との佐々木先生からのお言葉が、何より心に残ったのは言うまでもありません。
(ちと、耳が痛いわ・・・)
by komo68
| 2009-12-12 02:04
| 自閉症